京都市の位置は、本州のやや西寄りの内陸部。JR京都駅の駅ビルや京都タワーなど高い所に上がってみてください。三方を山に囲まれた盆地であることがよくわかります。北から南へゆるやかな傾斜地をなし、鴨川(賀茂川)、高野川、桂川などが合流しながら南側に開けた平野部へ流れ、大阪湾に注ぐ淀川につながっています。
気候は比較的温暖ですが、内陸の盆地であるため、夏と冬の寒暖の差は激しく、冬は「京の底冷え」として知られています。しかし、主に京都で暮らしたとされる『徒然草』の兼好法師は、「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる」(家の作り方は夏向きにすべきだ。冬はどんな所でも住むことが出来る)と記し、冬の寒さはこたえなかったようです。また、清少納言は『枕草子』で、冬は著しく寒いのがよく、夏はとてつもなく暑いのがよいと言っています。『枕草子』の有名な「春はあけぼの」の段では、各季節の趣が対照されており、京都では山紫水明とうたわれる自然が、四季それぞれに愛でられてきました。
現在の京都市の人口は147万人。政令指定都市といわれる大都市では中位です。中国は唐の都・長安を模した碁盤目状の道路が残る町並みを中心に、約66万世帯が暮らしています。面積は2005年4月に隣接の京北町を合併して827.9km²になり、東京都区部の約1.3倍、東京ドームなら1万7700個分にあたります。
世界文化遺産に登録された寺院や神社を多く抱え、都がおかれた永年の歴史が芸術・芸能、風俗・習慣に独自の文化をはぐくんできました。文化財の国宝を例にとれば、日本にある国宝のうち約20%は京都市内に集中しています。こうした伝統が国際文化観光都市として名を高め、アメリカやヨーロッパ、オセアニアなどから観光客が多く訪れ、近年はアジアからの観光客も増えています。また、伝統工芸や伝統芸能の体験、京町家探訪など行動する観光、参加する観光が注目され、2015年は5864万人の観光客が訪れ過去最多になりました。